このHPは陸上競技全般の情報を広く発信していく目的で作りました。
競技種目も広く取り上げていく方針です。
とりあえず、自分の専門である中長距離の事から書いていこうと思います。
現在、中学生を教えていますので、内容は中学生向きに書いていきます。
自分の経験と、いろんな人から学んだこと、専門書から学んだことなどを基にしていますが、あくまでも個人の独断と偏見で書いていますので、おかしいと思ったら読み飛ばしてください。
一般的に100m・200m・400m競技を短距離種目、800m・1,500m競技を中距離種目、3,000mより長い距離を長距離種目と区別しています。
短距離種目はより速いスピードを重視されますし、長距離種目はある一定のスピードを維持できるスピード持久力(スタミナ)が必要とされます。
そして中距離種目は、スピードとスタミナどちらも必要な競技です。
無酸素運動と有酸素運動という言い方がありますが、短距離種目は無酸素運動系、長距離種目は有酸素運動系に分けられます。
最近の研究ではロングスプリント種目400mにおける有酸素運動の占める割合が、今まで考えられていた以上に大きいことがわかってきました。女子の場合の研究ですが、400mにおける有酸素運動の占める割合は実に約4割ということです。
このことから400mには有酸素系能力を高めるトレーニングも必要であることがわかってきました。所謂持久走といわれるトレーニングで、代表的なものに野外で行なうクロスカントリー走、トラックで行なうペース走などがありますが、起伏の富んだ中で走り込むクロカン走は、持久力維持とともに、やわらかいフォームを養う、フォームの矯正、筋力の強化、気分転換などに役に立ちますので、レースシーズン中でも積極的に取り入れて欲しいメニューです。
無酸素で運動できる時間は限られており、3分半を越える運動は有酸素運動になりますが、800mや1,500mの中距離種目のラストスパートなどは無酸素運動になります。
無酸素運動系では、トップスピードでの運動はできますが、長い時間そのパフォーマンスを維持できません。
逆に有酸素運動系では、あるスピードでの運動を長時間続けることが可能です。(どの位のスピードかは、種目別の項で述べます。)
そして、この有酸素運動と無酸素運動とを分ける境界線に関係してくるのが、『乳酸』(疲労物質)です。運動強度を上げていくと徐々に筋肉内に乳酸が蓄積され、運動を続けることが困難になっていきます。
この乳酸が筋肉に蓄積されはじめる時点を『AT(無酸素性作業閾値)』(ムサンソセイサギョウイキチ)
といい後から述べるトレーニングに深く関係してきます。(ちょっと難しいかな)
一般的に、ジョグはAT以下の無理のないスピードで、ハイレベルのスタミナをつけたいときはATのペースで、スピードアップを目指すのであればAT以上のペースでのトレーニングをすればいいのではないかと思います。
また有酸素運動系の中長距離種目に大きく影響してくるものに、最大酸素摂取量(VDOT)があります。
運動する場合、呼吸によって空気中の酸素を体内に取り入れ、糖や脂肪、たんぱく質を酸化することによってエネルギーを作り出します。
当然より多くの酸素を取り入れることができれば、それだけ多くの運動ができるわけです。
この『一分間に摂取できる酸素量の最大値』のことをVDOT(最大酸素摂取量)といい体重当たりに換算して表されます。
結局、中長距離種目は AT値を上げ(乳酸の溜まりはじめる時点のスピードを速くする。)、最大酸素摂取量の数字を上げるトレーニングができれば、確実にレベルアッツプができると思います。
最大酸素摂取量の改善の為に現在盛んに行なわれているのが、所謂高地トレーニングです。酸素の少ない高地でトレーニングすることにより、身体の酸素を運ぶ能力を強制的に高める目的で行なわれていますが、個人差もあり、トレーニング環境も過酷ですので、全ての人に当てはまるトレーニングとは云いがたいところがあると思います。
現在、AT値はLT値(乳酸性作業閾値)に置き換えられています。数値はどちらも同じです。
種目別(800m、1,500m、3,000m)の練習方法などは以下の項で述べたいと思います。
トップに戻る
前項でLT値(乳酸性作業閾値)およびVDOT値(最大酸素摂取量)について述べましたが、もうひとつHRT(心拍性作業閾値)という値があります。
HRTとは心拍数とトレーニングスピードとの関連した値です。心拍数とスピードは比例した関係にあり、スピードを上げていけば心拍数も比例して上がっていくのですが、あるスピードを境に、比例関係がなくなります。この境の数値をHRTといい、この数字が高いほど競技記録も高い傾向にあります。
このHRT値を正確に測るには、記録できる心拍計と距離表示(100mごと)のあるコ−スが必要ですので、一般的にはなかなか難しいと思います。
自分のVDOT値(最大酸素摂取量)を知るには、12分間走という簡単な方法があります。
これは距離がわかるコースとストップウォッチさえあればいいので比較的簡単に知ることができます。
12分間で走れる距離を測り、つぎの表に当てはめて求めます。
| (m) | ml/Kg/min | (m) | ml/Kg/min | (m) | ml/Kg/min |
| 1,000m | 14.0 | 2,000m | 35.3 | 3,000m | 56.5 |
| 1,100m | 16.1 | 2,100m | 37.4 | 3,100m | 58.6 |
| 1,200m | 18.3 | 2,200m | 39.5 | 3,200m | 60.8 |
| 1,300m | 20.4 | 2,300m | 41.6 | 3,300m | 62.9 |
| 1,400m | 22.5 | 2,400m | 43.8 | 3,400m | 65.0 |
| 1,500m | 24.6 | 2,500m | 45.9 | 3,500m | 67.1 |
| 1,600m | 26.8 | 2,600m | 48.0 | 3,600m | 69.3 |
| 1,700m | 28.9 | 2,700m | 50.1 | 3,700m | 71.4 |
| 1,800m | 31.0 | 2,800m | 52.3 | 3,800m | 73.5 |
| 1,900m | 33.1 | 2,900m | 54.4 | 3,900m | 75.6 |
この数字が高い程、持久的能力が高いと思われます。
最大酸素摂取量が大きいほど、有酸素的なエネルギー生産能力が大きいことになり、競技種目でいえば、1,500m、3,000mから5,000m、10,000mの記録と特に密接な関係があります。
最大酸素摂取量の単位で注目して欲しいのは、体重当たりの値だということです。これは体重が減れば最大酸素摂取量の値は大きくなるということです。だからといって無理なダイエットは必要ありませんが、トレーニングによって絞られた体は、自然に高い運動能力を手に入れたことになるのです。
一般的にトレーニングによって改善される最大酸素摂取能力は20%を超えることはないと言われています。現在の能力の120%ほどの改善が限界だというのが現在の研究結果です。
LT値の測定方法はいろいろあるのですが、次に挙げる表で近似値を求めることができます。
それは最大酸素摂取量の値を用いて、LTペースを1,000m当たりのタイムで示しています。
| VDOT | マラソンペース(/`) | LTペ-ス(1,000m) | インタ−バル(1,000m) | インタ−バル(1,600m) |
| 32 | 6’33” | 6’05” | ||
| 34 | 6’15” | 5’48” | ||
| 36 | 5’58” | 5’33” | 5’07” | |
| 38 | 5’43” | 5’19” | 4’54” | |
| 40 | 5’29” | 5’06” | 4’42” | |
| 42 | 5’16” | 4’54” | 4’31” | |
| 44 | 5’04” | 4’43” | 4’21” | |
| 45 | 4’58” | 4’38” | 4’16” | |
| 46 | 4’53” | 4’33” | 4’12” | |
| 47 | 4’47” | 4’29” | 4’07” | |
| 48 | 4’43” | 4’24” | 4’03” | |
| 49 | 4’38” | 4’20” | 3’59” | |
| 50 | 4’33” | 4’15” | 3’55” | |
| 51 | 4’28” | 4’11” | 3’51” | |
| 52 | 4’23” | 4’07” | 3’48” | |
| 53 | 4’20” | 4’04” | 3’44” | |
| 54 | 4’16” | 4’00” | 3’41” | |
| 55 | 4’12” | 3’56” | 3’37” | |
| 56 | 4’08” | 3’53” | 3’34” | |
| 57 | 4’04” | 3’50” | 3’31” | |
| 58 | 4’01” | 3’45” | 3’28” | |
| 59 | 3’57” | 3’43” | 3’25” | |
| 60 | 3’54” | 3’40” | 3’23” | |
| 61 | 3’50” | 3’37” | 3’20” | |
| 62 | 3’47” | 3’34” | 3’17” | |
| 63 | 3’44” | 3’32” | 3’15” | |
| 64 | 3’41” | 3’29” | 3’12” | |
| 65 | 3’38” | 3’26” | 3’10” | |
| 66 | 3’35” | 3’24” | 3’08” | 5’00” |
| 67 | 3’32” | 3’21” | 3’05” | 4’57” |
| 68 | 3’30” | 3’19” | 3’03” | 4’53” |
| 69 | 3’28” | 3’16” | 3’01” | 4’50” |
| 70 | 3’25” | 3’14” | 2’59” | 4’46” |
| 71 | 3’23” | 3’12” | 2’57” | 4’43” |
| 72 | 3’20” | 3’10” | 2’55” | 4’40” |
| 73 | 3’17” | 3’08” | 2’53” | 4’37” |
| 74 | 3’15” | 3’06” | 2’51” | 4’34” |
| 75 | 3’13” | 3’04” | 2’49” | 4’31” |
例えば、Aさんが12分間走で3,000m走った時の最大酸素摂取量は表2-1で求めると56.5ml/Kg/minになります。
56.5ml/Kg/minを基に表2-2でLT値を求めると3’51”〜2”という値になります。
よってAさんの乳酸が溜まり始める1,000mのスピ−ドは3’51〜2”ということになり、スピ−ド持久力をつけるトレーニングスピードはキロ3’51〜2”を少し越える辺りで行えば一番効果的があるということです。
この値はあくまでも近似値ですから若干のずれはあるかと思いますが、ほぼ参考にできる値だと思います。
| VDOT | 5` | 10` | ハーフマラソン | フルマラソン |
| 32 | 29’05” | 60’26” | 2:13’49” | 4:34’59” |
| 33 | 28’21” | 58’54” | 2:10’27” | 4:28’22” |
| 34 | 27’39” | 57’26” | 2:07’16” | 4:22’03” |
| 35 | 27’00” | 56’03” | 2:04’13” | 4:16’03” |
| 36 | 26’22” | 54’44” | 2:01’19” | 4:10’19” |
| 37 | 25’46” | 53’29” | 1:58’34” | 4:04’50” |
| 38 | 25’12” | 52’17” | 1:55’55” | 3:59’35” |
| 39 | 24’39” | 51’09” | 1:53’24” | 3:54’34” |
| 40 | 24’08” | 50’03” | 1:50’59” | 3:49’45” |
| 41 | 23’38” | 49’01” | 1:48’40” | 3:45’09” |
| 42 | 23’09” | 48’01” | 1:46’27” | 3:40’43” |
| 43 | 22’41” | 47’04” | 1:44’20” | 3:36’28” |
| 44 | 22’15” | 46’09” | 1:42’17” | 3:32’23” |
| 45 | 21’50” | 45’16” | 1:40’20” | 3:28’26” |
| 46 | 21’25” | 44’25” | 1:38’27” | 3:24’39” |
| 47 | 21’02” | 43’36” | 1:36’38” | 3:21’00” |
| 48 | 20’39” | 42’50” | 1:34’53” | 3:17’29” |
| 49 | 20’18” | 42’04” | 1:33’12” | 3:14’06” |
| 50 | 19’57” | 41’21” | 1:31’35” | 3:10’49” |
| 51 | 19’36” | 40’39” | 1:30’02” | 3:07’39” |
| 52 | 19’17” | 39’59” | 1:28’31” | 3:04’36” |
| 53 | 18’58” | 39’20” | 1:27’04” | 3:01’39” |
| 54 | 18’40” | 38’42” | 1:25’40” | 2:58’47” |
| 55 | 18’22” | 38’06” | 1:24’18” | 2:56’01” |
| 56 | 18’05” | 37’31” | 1:23’00” | 2:53’20” |
| 57 | 17’49” | 36’57” | 1:21’43” | 2:50’45” |
| 58 | 17’33” | 36’24” | 1:20’30” | 2:48’14” |
| 59 | 17’17” | 35’52” | 1:19’18” | 2:45’47” |
| 60 | 17’03” | 35’22” | 1:18’09” | 2:43’25” |
| 61 | 16’48” | 34’52” | 1:17’02” | 2:41’08” |
| 62 | 16’34” | 34’23” | 1:15’57” | 2:38’54” |
| 63 | 16’20” | 33’55” | 1:14’54” | 2:36’44” |
| 64 | 16’07” | 33’28” | 1:13’53” | 2:34’38” |
| 65 | 15’54” | 33’01” | 1:12’53” | 2:32’35” |
| 66 | 15’42” | 32’35” | 1:11’56” | 2:30’36” |
| 67 | 15’29” | 32’11” | 1:11’00” | 2:28’40” |
| 68 | 15’18” | 31’46” | 1:10’05” | 2:26’47” |
| 69 | 15’06” | 31’23” | 1:09’12” | 2:24’57” |
| 70 | 14’55” | 31’00” | 1:08’21” | 2:23’10” |
| 71 | 14’44” | 30’38” | 1:07’31” | 2:21’26” |
| 72 | 14’33” | 30’16” | 1:06’42” | 2:19’44” |
| 73 | 14’23” | 29’55” | 1:05’54” | 2:18’05” |
| 74 | 14’13” | 29’34” | 1:05’08” | 2:16’29” |
| 75 | 14’03” | 29’14” | 1:04’23” | 2:14’55” |